歪み
「拓…あたし、最低だ。ごめんね…」
結局変われてなんかない。
歪みを大きくしただけだ
もう、取り返しのつかない程に。
「謝るくらいなら、
俺を選んでよ」
頬に触れていた手が強引にあたしの顎を掴む。
その瞬間唇が重なる。
頭が真っ白になる。
体に力が入らなくて拒絶すらしないあたし。
離れ際に微かに震えていた拓の唇。
それは、罪悪感?
「…何で拒絶しないんだよ。
好きでもない奴だろ。
同情のつもりかよ」
自分でもわからなかった。
同情のつもりなんだろうか…。
それ以上に何も感じない自分自身が怖かった。
こんな感情のない人だっけ?あたしって。