歪み

「佐野、話があるんだけど」

「え?あぁ。そゆこと」

俺より少し身長が高い佐野。
馬鹿にしたような瞳に苛々する。

「橘真柚、知ってるよな?」

「あぁ」

「真柚をどうするつもりだよ。
あいつを他の女子みたいに遊び感覚で
近寄ってんなら真柚に関わんなよ」

しばらくお互い睨み合ってた。

「お前こそ、橘さんの何?
随分偉そうだけどさ」

その言葉に少し恥ずかしくなった俺は
あの時点で負けてたんだろう。
何かに。

< 128 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop