歪み

「速水さ、橘さんの事好きなんだな」

すれ違いざまにそう言って
あいつは去って行った。
どんな表情で何の為に言ったのか
よく理解できなかった。

だが、負けたと思った。
俺は卑怯な事をした。
あんな事言う権利なんて俺にはない。
真柚が誰と話そうが
そんなの真柚自身の自由なのに。



いつの間にこんなに
何も見えなくなっていたんだろう。

< 129 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop