歪み

03

相変わらず変わらない朝がやってくる。
もう止まって欲しいのに。
出来るなら戻って欲しいのに。


「真柚、昨日遅かったけどどうしたの?」

「別に。図書室で勉強してただけ」

“分かった。
でも俺、諦めてないから”

拓は最後にそう言った。
拓の後ろ姿を見ながらちょっぴり傷んだあたしの胸。
これでいいんだ。
拓には前を向いて歩いて欲しいから。
こんなあたしにずるずる巻き込みたくはない。


ほんと、馬鹿だな。あたしって。
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