歪み
「…っ」
未だにあいつの顔を思い出すだけで
虫唾が走る。
「ねぇ有?
私ずっと独りだったんだ。
だから、沙奈さんに出逢ってほんと感謝してる。
だって有に会えたんだもん」
何にも知らなかったのは俺だけ。
あいつはただ遊んでいだけだ。
彼氏に相手にされなくて憂さ晴らしにしただけ。
「有って綺麗だよね。
何か嫉妬しちゃう、ふふ」
嘘つきで弱虫で一人じゃ生きていけない。
常に心の拠り所を求めていた。
俺はそんな拠り所の一つだったのだろう。