歪み
橘さんは挨拶した後は振り向きもしない。
そんな姿に少し寂しくなる。
何だかなぁ。
いまいち自分のしたい事がわからない。
橘さんを好きかどうかもわからない。
ただ色んな表情が見たい。
その瞳に写りたい。
その気持ちは恋なのか、何なのか。
ただ、瑞穂の時とは違うな。
上手く言えないけど。
くいっと腕を引っ張られる。
「おい、何だよ」
後ろを振り向くと黒い髪がなびく。
「柚子か。何だよお前。
最近、まとわりつきやがって」
「おはよ」
…どうもこいつは苦手だ。