歪み
「お前さ…。離れろよな。
ったく訳わかんねぇな」
服を掴んだまま上目遣いに俺を見上げる。
計算し尽くされてるなー。
だから嫌なんだよ、打算的で。
瑞穂を思い出す。
“ごめんね…
あの人は見向きもしてくれないのに、
有は私の事好きって言ってくれて嬉しくて。
最低なことしたよね。
でも、本当に有と付き合いたいって
思ったの”
潤んだ瑞穂の瞳。
あいつに出逢わなかったら今頃…
俺はどうしていたんだろう。
「有…今日放課後裏庭に来てよ」
「何だよ、今度は何企んでんだよ」
「良いから来てね!」
…何だよあいつ。