歪み
「瑞穂さんと何があったか知らないけどさ
もう少し素直になんないと逃がすぞ。
実際速水が居るわけだし」
「…声がでけーよ。
同じクラスなんだからよ」
そんなことはわかってる。
でもやっぱ、な…。
橘さんに自分が惹かれているのはわかっている。
ただ橘さんは怖くもある。
全て見透かされそうで。
空っぽで止まったままの俺。
本気になんてなれなくて
いつだって自分を守ってばかり。
きっと本気になるのが怖いから。
“ずっと亮さんが好きだった。
けど全然相手にされなくて…。
そんな時知ったの、有の事。
あの人の息子に会いたい。
最初はそれだけだったの。”