歪み
「やっぱり。
これ、探してたんでしょ?」

「あ、それ」


佐野 有の手にはあたしのiPodが確かに握られてた。
ほっとすると同時に
どうしてこの人なんだろうって思ってしまう。

「昨日君が去った後落ちているのを見つけたんだよ」

「あ、ありがとうございます拾ってくれて。
それあたしのなんです」

何とか声を絞り出して手を出した。

「ありがとう?勘違いすんな」

え?

差し出した手はあっという間に掴まれて
壁に押し倒される。
間近に迫る顔。
頭の整理が追いつかない。

何、何なの。
< 16 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop