歪み
03
ぎゅっと手首を掴まれた。
「何だよ、付き合ってんのかよ」
そう言い捨てて金髪男子はどっか行った。
でも、どうして。
「大丈夫だった?」
久しぶりに見る優しい笑顔。
思わずほっとして涙が出そうになる。
馬鹿。
そうやっていつも利用するんだ。
これ以上傷付けては駄目なのに。
「…こないだ、ごめん。
どうかしてた、真柚のこと責めて。
真柚のせいなんかじゃないんだ」
…またそうやって拓はあたしを甘やかすんだ。
こんな、こんな最低なあたしなんて
許さなくていいのに。
恨んでくれていいのに。