歪み
“初めて亮さんに会った時にね、
息が止まるかと思った。
一目惚れなんかした事無くて。
でも、亮さん私のことなんか
見向きもしてくれなくて。
何とかして私を見てほしかったの”
あいつも俺の父親にだけは本気だった。
だから余計許せなかった。
俺と母さんを捨てるような奴なのに。
俺はあいつに負けたんだ。
ただ何も知らずに
瑞穂の居場所でしかなかった。
「柚子…ごめんな。
俺多分好きな人がいるんだ」
「うん。知ってる。
それでも伝えたかったから。
だから謝らなくていいよ」