歪み

去っていく柚子を見ながら

「ごめん…」

と呟いた。
そんなこと言ったところで何も変わらないのに。
きっと俺は今まで沢山の人を傷つけたんだろう。
これじゃあ瑞穂の事なんか言えねーな。
というかそれより酷いな。


どサッと、その場に座り込む。
むしゃくしゃして仕方ない。
この間から柚子の表情が忘れられない。
罪悪感と苛立ちばかり募る。

俺は今まできちんと柚子を見てなかった。
勝手に瑞穂と重ねてばかりいた。
もしかしたら、

橘さんもそうではないのか?
俺は本当に橘さんを好きなのか?



っ畜生。
訳分かんねー。

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