歪み
「瑞穂さー、
俺の事好きじゃないでしょ?」
「や、だ何言ってるの?
好きに決まってるじゃん。ねぇ」
そう言って近付いてきた顔。
顎を掴んでぐいっとあげる。
微かに震えた手を俺が気付かないわけない。
「葛城 亮だろ。お前が好きなのは」
その言葉にびくっと反応した。
「な、何で…?」
丸くて儚げな瞳が震えて
一粒の涙が俺の手に落ちる。
憎いのに綺麗だと思ってしまう、
自分に腹が立った。
「もう、二度と俺の前に現れんな」