歪み

驚きと苛立ちで訳がわからなくたなって
気付いたら橘さんの手を握り締めてて。
目を見開いて俺を見つめる瞳に吸い込まれる。


「何で和樹の事は和樹君なわけ?
速水の事は拓だし」

「…そう呼んでって言われた。
拓は幼馴染みだし」


橘さんの瞳が鋭く光る。
怒らせたいわけじゃないのに。
どうして上手くいかないんだよ。

「ねぇ、俺の事好きって本当?」

「…何で?」


その微かな間に
俺は希望を描いてもいいんだろうか。

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