歪み

「っ何だよ、それ。
俺の立場なんかねーじゃん。
橘さんの事が好きでも
本音も過去も教える気なんてねーよ」


…!?


あたしを見下ろす目にもう光はなかった。
悲しく冷たい。
全身に拒絶を感じる。
溝を作られたよう。

「どうして…。
好きって言ったのは嘘なの?
わからないよ、
振るなら…きちんと振ってよ」

泣きたくなんてないのに。
力が入らなくて床に座り込む。
佐野有の後ろ姿に伸ばした手は


届かなくて。
苦しいよ。
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