歪み
予鈴が鳴る。
あたしは動けないでいた。
ガチャ。
突然のドアの音にびくっと肩が反応する。
もう、誰だっていい。
「ったく、折角チャンス与えたのに。
馬鹿だな有も。
あ、真柚ちゃんもね」
「…和樹君?何で?
何なのいつも訳わかんないことばっか。
変なタイミングで来て
掻き回さないでよ」
馬鹿…。
八つ当たりしたって仕方ない。
和樹君は関係ないのに。
「ごめんね。今の八つ当たり。
わかってる。
あたしが引き起こしたこと。
拓とのことも、あたしが逃げたんだ」
「いや、わかってないよ。
だから馬鹿なんだよ」
そう言った和樹君は何故か
哀しそうだった。