歪み
駅に着き、イヤホンをつけようと
鞄を探る。
「有」
…!?
顔を上げると今にも泣きそうな顔をしている
瑞穂がいた。
「ごめんね、どうしても会いたくて」
半年位会ってないだけなのに、
ひどく懐かしく感じた。
会っても何の感情も持てない自分に
少し驚く。
憎んでもない、ということか。
それともそんな感情さえ持てないのか。
「で、何を話したかったわけ?
別に俺は会いたくも何ともないけど」
「…っここじゃ、あれだから。
その、どっか行かない?」
一体何なんだよ。
酷く怯えた目で目を合わせようともしない。
あれ…
瑞穂ってこんな奴だっけ?
何処か違和感を感じる。