歪み
番外編 真柚と拓
1,幼い日々
「真柚ちゃんってどうして
いつも全然喋らないの?」
「つまんないー」
「えっと…あの」
「真柚!
おばさんが帰って来いって言ってるよ」
「え?」
「いいから、早く」
ぎゅっと手を引っ張ってぐんぐん歩く。
いつも真柚は泣き虫なくせに
必死に我慢しようとする。
「真柚、大丈夫だよ。
俺…真柚の事助けるから、ずっと」
子供ながら真柚の事守らなきゃって
勝手に思ってた。
「いつもありがとね、拓君。
ほらあの子ね素直じゃないから
私の前だと泣かないのよね。
きっと学校でも強がってるでしょ」