歪み

3,異変


ふと放課後トイレに向かって歩いてた時だった。


女子トイレから紅梨が出て来て
声を掛けようと思ったら…

「皆…消えればいいのに」


低く呟く声が聞こえてびくっとした。
呟いたのは紅梨なのに、
見たことのないような紅梨だった。

思い返してみれば今日、
真柚は体調が悪くて早退していた。


「紅梨…何してんの?」

その声に驚いたのか
目を見開いて顔を上げた。
最初、睨んでいるような目つきだった。

「あ、拓か。
拓こそ何してんの?」

「部活の前にトイレ行こうと思って」

「そうなんだ」

その時の紅梨は全てが変だった。
何処かいつもと違う。
胸騒ぎがしてならなかった。
ぐるぐる皆の噂が回る。

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