歪み

一体紅梨は何に大して怒っているんだ。
ますますわからない。
わからないまま怒りをぶつけられても
どうしようもない。


「…紅梨、1つ聞かせてくれ。
どうして真柚と友達になろうと
思ったんだ?」

今にも泣きそうな赤い目をして
唇をぎゅっと噛み締めて黙り込んだ。
俺も怖くなる。
もし…もし紅梨が
真柚を利用しているのだとしたら…
俺は一体どうすればいいんだろう。

「中学に入ってすぐ、
クラスの中心的グループの女子に
トイレに上履き隠されて泣いてたんだ。
そしたら足音が聞こえて
またあの女子が戻ってきたのかと思って
個室の鍵を締めて黙ってたら、
大丈夫ですか、保健室行きますか?って
澄んだ綺麗な声が聞こえてきて
びっくりしてあっち行ってよって言った。
そしたら上からハンカチが落ちてきたの。
その後に泣かないでって聞こえて
足音が去っていった。
驚いて個室から出て後ろ姿を見たら
真柚だった。
きっと、真柚は知らないと思うけどね」


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