歪み

「真柚、昨日はごめん!」


突然そんなことを言った俺に目を丸くして

「取り敢えず…入ってよ」

「あ、うん。何かごめん」


入ってリビングのソファーに
座ったものの…
一向に真柚は喋らない。
床の方を見ているだけだ。

変な居心地の悪さを感じる。

「…拓、あのね
昨日はあたしも悪かったと思う。
何かいろいろあって
拓に当たっちゃって…。
だから、その…
あたしもごめんね」

「…え?」


まさかそんなこと言われると思わなくて
吃驚して何も言えない。

「でも、あたし紅梨がいるし
別に一緒に帰ってくれなくても大丈夫だよ」

その一言は何だか
一緒に帰りたくないと言われているようだった。
高見の声が頭に響く。
なのに、

「そうだね、
俺別の人と帰るわ」

ごめん、高見。
俺やっぱ気持ちなんて言えないよ。

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