歪み

高見と別れて歩いていたら
ふと目の前に真柚を見つけた。
ちょうど帰っているところなのだろう。
早歩きで追いつく。

「真柚」

「…拓?」

「また帰り一緒に帰らないか?」

俺がそう言うと困ったように
眉をひそめた。


「…うん」


少し俯き気味で言った。
昔から人見知りで知らない人や親しくない人の
前ではよく無表情だった。
けど、俺の前では結構感情を表していたのに
最近はいつも無表情で…。

少し痛くなる俺の心。



守るって決めたんだ。
結果がどうであれ。


“紅梨と何があった”と聞くのは
もうやめにした。
真柚が話してくれるまで待てばいい。

3人で同じ高校に行こうと始めた勉強会も
いつしか2人になった。

「紅梨と同じ高校に行けるといいね」

突然そんなことを真柚が呟いた。
その意図はよくわからなかった。

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