歪み

「…っ、何それ。慰めたつもり?
そうやって2人にいい顔して
偽善者ぶりたいの?
もう優しくなんてしないでよ。
うち、最低な事してるんだから。
高校だって受かるつもりなかったし。
そこまで流石に邪魔しないよ」


どくどく流れ出す血のように紅梨は
自分自身の傷を抉るように話す。
一体紅梨は何の為にここまでして…

「紅梨、一体何に対して
そこまで執着してんだよ」

「…っだからわかんないんだよ。
拓には。もう放っといてよ。
それと、真柚に
うちが話したいって言ってたとでも言っといて。
別に言わなくても良いけどさ」


そう言って駅に向かって歩き出した。
振り返ることなんてなく。
そうやって紅梨は俺を試すかのように言う。



「…っどうすればいいんだって」

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