歪み

「紅梨、そんなことしたって
俺も真柚も紅梨の事責めないだろ。
一体紅梨のしたかった事って何だよ?
何でそこまでする必要があったんだよ」

「…っ」

紅梨が堪え切れずに涙を流した。

「言ったじゃん…。
うち、真柚の事大好きなのに…
一緒に居ると哀しくなるんだよ。
真柚は何でも持っていてうちは空っぽで。
うちが話すまで見守ってくれるし、
自分より何よりうちが真柚にとっての一番で。
嬉しいのに辛くて。
そんな自分が何より嫌いで」

言いながら紅梨が哀しく笑った。

「うちの母親さずっと浮気ばっかしてて
家の中もガタガタで。
兄は母親に反抗して家の中で暴れて。
何もかも滅茶苦茶になればいいと思った。
こんなことして意味ないなんてわかってる。
だから何だっていうの。
嫉妬して振り回してこれが本当の自分だもの。
真柚みたいな子に憧れても所詮真柚にはなれない」


やっと話した紅梨の心の声。

「紅梨さ、脅されたんじゃないの?」

その声にはっと顔を上げる紅梨。

「な…んで…?」
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