歪み
「花奈の方はどうなの、彼氏さんと」

話題を変える。
実際花奈の彼氏さんの名前も部活も知らない。
何だか聞いてはいけない気がして。
「最近部活とか忙しいみたい。
私はもうちょっと一緒にいて欲しいんだけどねー
あんま言えないし、さ」

「そっか。もうすぐ運動部は大会…だもんね」

動揺を隠して平常を装って
当たり障りのない会話をする。
中途半端で臆病な自分が憎くてたまらない。
でも…。
どうしようもなく怖かった。
怖くて、失いたくなくて、言葉を飲み込んだ。

その後も授業なんか全然入ってこなかった。
ていうのはいつもと大して変わらないんだけど。

「真柚は今日も図書室?」

「うん」

「じゃあまた明日」
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