歪み
思い出すのはいつもあの顔だった。
“ごめんね…ごめんね”
声も上げずにただ涙を流して謝っていた。
あの時の顔が忘れられない。
この気持ちは何なのだろう。
ただその瞳に写りたい。
色んな表情が見たい。
俺の前で笑って、泣いて…それを受け止めたい。
これは恋なのか、独占欲なのか。
本気で人を好きになったことのない
俺にはわからない。
でも…恋人になりたいの言われると即答出来ない。
そこまで信用しているわけではない。
裏切られるくらいならこのままでいい。
「何なんだよ…」
“パスワードが違います”
握り締めたiPodでも画面に浮かび上がる文字。
それさえも鬱陶しくてならなかった。