歪み
電車の中でボーッとスマホを見つめる。
落ち着きはしたけど何だろうこの無気力感。
自分が自分でわからない。
“間もなく2番ホーム電車が発車します”
そのアナウンスに走って何人か乗車してきた。
ちらっと顔を上げる。
…目があってしまった。
逸らしたいけど逸らせない。
「そんな目で見なくても昨日の今日で
一緒に帰るなんて言わねーよ、俺だって。
ちょっと寄る所があるし」
最低だけどその言葉に安心してしまう。
やっぱり優しいな、拓は。
それに比べて私は…。
今更そんなこと言ったって遅いよね。