歪み
2章
01
「あれー有じゃん。
ここまで来るなんて珍しいね」
「ま、 ちょっと用事」
有?嘘でしょ。
思わず見てしまう。
目立つ人だな、色んな意味で。
誰かうちのクラスの男子と話している。
けど、あっという間に女子に囲まれる。
「あ、有君だ」
え?花奈…?
花奈の言葉に驚く。
妙に親しい人の用に話すから。
「知り合い…なの?」
「…うん。一応元カノ…かな?
そうと言えるかも怪しいけど。
ほら、有君って
特定の彼女っていないみたいだから。
私も二股かけられてたようなもんだから」
信じられなかった。
いつの間に…付き合ってたんだろう。
「でもそれってひどくない?」
「ううん、
二股かけられてでも付き合いたいと思ったの。
だからいいの。それにね…」
「それに何?」
「有君が本当に
好きになってくれることはないから。
自分からまともに告ったこともないと思うよ」