歪み
どくん。心拍が上がる。
もう一度輪の中の佐野有を見る。
今まで見たことのない笑顔で話してた。
けれどその瞳に感情はなく冷たかった。
あたしに言ったあれは告白なの?
けど花奈は自分から
まともに告ったことはないって。
わからない。
「花奈、トイレ行かない?」
もう沢山。
女子の笑い声も歪んで思えてしまう。
佐野有に届くはずなんてないのに。
そこまでして欲しがる人なの?
二股かけられてでも付き合って幸せなの?
分からなかった。
「うん、いいよ」