歪み

「あ、花奈久しぶり」

教室を出ようとした瞬間、だった。
花奈と一緒に振り向くことが出来なくて俯く。

「うん。久しぶり」

「それと、橘さんも。iPodごめんね」

…どうして?どうして話し掛けるの。
ぎゅっと唇を噛む。
バレたくなかった。花奈に。

「その説はありがとうございました」

頭だけ下げる。
見たくなかった。佐野有も。花奈も。
そのまま廊下に出る。

「真柚?知り合いなの、有君と」

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