歪み

その日の放課後。
ずっと行ってなかった図書室に
久しぶりに足を踏み入れた。
なんだか懐かしい。
いつもの席に座り、ノートを広げ、
鞄からiPodを取り出し再生する。

ふいに窓の光が閉ざされ視界が暗くなる。
誰か来たのかと顔を上げる。

「久しぶりに来たな」

そう言って笑いながら冷たい目であたしを見る。
ちょうど良かった。
聞きたいこともあったし。

「花奈と付き合ってたって本当?」

「は、花奈?まあそうだけど。
それが何だよ」

「二股かけてたの?」

「あぁ」

怒りというより呆れた。
当たり前のように話すから。

「付き合う気がないなら断ればいいじゃない」


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