歪み
ふと時計を見ると30分も経過していた。
少しずつ人が減ってきている。
あたしも帰ろう。
結果を見て泣いている人もいたから
別に泣いていたって可笑しくないけど
腫れたを見せたくなくて下向いて歩く。
「やっぱり泣いてんじゃん」
え?
驚いて顔を上げると校門に拓がいた。
「拓っ!」
拓の顔を見ると素直に嬉しくて顔が綻ぶ。
あたしの嘘、バレてたんだ。
駄目なのに 。
どうしても拓を諦めきれないあたしがいる。
「真柚ん家に電話したら帰ってないって言うから
まだここにいるんだろうなって思って」
ずっと待っていてくれたの?
嬉しいのに…喜べない。
「…紅梨は?」