歪み
「ちゃんと会ったよ。
んで、聞いたよ二人のこと。
全部は話してくれなかったけど」
話したんだ、紅梨。
少しだけ心が軽くなる。
拓に秘密にしなくて済むから。
ぎゅっと手を掴まれる。
そのまま駅に向かって歩く。
胸がざわつく、嫌な予感がする。
いつからだろう。
素直に嬉しいって思えない。
「拓…?」
「…紅梨、真柚と話したいって言ってた。
俺はお前達の事仲直りさせたりなんて出来ないけど…
話すぐらいしてくれよ。
俺等幼馴染みだろ?」
小さい頃からずっと拓の優しさに助けられてきた。
自分でも気付かない内に好きになっていた。
残念ながらあたしがその気持ちに気付いたのは
紅梨の相談を聞いたあとだった。
もしあの時あたしが違う選択をしてたら
拓と一緒に過ごせていたのかな…?
なんて最低なことを思ってしまう。