歪み

“クラスの女子が影で
うちのことなんて言ってるか知ってる?
橘さんの引き立て役だよ?
真柚だって…っ
どうせ馬鹿にしてんでしょ。
真柚は何もしてなくてもモテるもんね”

全然知らなかった。
紅梨はいつ聞いたのだろう。
ずっと何も知らないで笑ってたあたし。
後悔ばかり募っていく。


“うちが告白する日だって
真柚にしか言ってないはずなのに
クラスの女子のほとんど知ってた。
受験なのによくやるよねって影で言ってた。
…知ってたよ。
真柚と拓が両想いって事ぐらい。
それでも拓の事諦められなかった。
うちだって最低なことしたってわかってる。
でも…こんな惨めなの、もう嫌なの”

初めて見た紅梨の涙だった。
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