歪み
05
「橘さんって速水君と付き合ってるの?」
「え…?」
思わずびくっと身構える。
「あ、ごめん。驚かしちゃった?
誤解しないでね。
たまたま居ただけだから」
ストレートの黒髪が風に揺れた。
誰だろう。知らない人なのに。
どこか親近感を覚える。
「私、隣のクラスの吉岡柚子って言うんだけど…
もしかして知らない?」
ひょこっと首をかしげて上目遣いにあたしを見る。
素晴らしい位計算された仕草。
下手したら素なのかと疑うくらい。
こくっと頷く。全然知らなかった。