歪み
「うーん、残念。
私結構前から橘さんのこと気になってたのになぁ。
髪型とか真似してみたり?
似てると思わない?」
ちょこんと髪の毛を摘んで微笑む。
何この子。
一体何を言っているの?
思わず警戒してしまう。
「思わない」
「うん、だって嘘だし。
気になってたのは本当だけどね」
嘘?
さらに訳がわからない。変人なの?
「橘さんの本命って誰なのよ、ぶっちゃけ?」
ピッとあたしに向けられた人差し指。
そのまま…バーンと鉄砲をうつ真似をする。
どくん。あたしの心に動揺が走る。
「まだ、出てないんだ。
仕方ない。また話に来るねー
ってことで私のこと覚えててね!
柚子だからー!」
「ちょっ…!?」
あっという間に視界から消え去ってしまった。
何なんだろう。ほんと。