歪み
思考を停止したあたしは目の前から視線を逸らした。
そんな視界にちらっと黒い髪が見えた。
もしかして…。
いや、そうだとしても何故?
一体何のメリットが?
「誰に聞いたの?」
「そんな事はどうでもいいだろ。
俺が聞いてるのはそれが本当なのか嘘かだけだ」
動揺してるのを悟られたくなくて必死で冷静を装う。
ただ…瞳だけは見れなかった。
見たらもう、誤魔化せない気がして。
「…馬鹿じゃないの。
好きだったらわざわざ振るわけない」
「ま、そうだよな。残念」
残念?何なの。
あたしが好きだったら何だと言うの。
好き、だったら。