歪み
3章
01
呆然と佐野有が立ち去った後を見ていた。
考えたくないのに考えてしまう。
関わってはいけないと避けていた筈なのに
いつの間にかあたしの中の佐野有の存在が
大きくなって…
あたしは佐野有が好きなの?
わからない。
でも、拓のことを嫌いになったわけではない。
気持ちに応えることは出来ないけれど
今も大切な人で悲しませたくない。
出来るなら昔みたいに一緒に笑っていたい。
欲張りなのかな、あたしって。