最高の贈り物〜クリスマスの奇跡
今日は自分の赤いマフラーを持ってきた。
伊織のマフラーは家に帰ってからしっかりと洗って、アイロンもかけた。
せっかく厚意で貸してくれたのに、洗濯もしないなんて失礼だもの。
『大学の帰り、正門のとこで待ってて』
昨日家に帰ってから伊織にそうメールしておいたから、きっと待っててくれてるはず。
伊織はあの教授の講義は受けないから、ずっと待っててくれてる。
あたしは急いで大学の正門に向かった。
正門まで小走りで行くと、見覚えのある姿があった。
あれ?今日はマフラーつけてない。
…ふふ、こうなったら…
あたしは昨日借りたマフラーを袋から出して、背後からふわっと伊織の首にかけた。
「…わ、なんだ麻衣。驚かせんなよ」
目を見開いて後ろを振り向いた伊織。
やがてふっと笑ってあたしの頭に手を置いた。
「…ふふ、昨日の仕返し。それに今日はマフラーしてなかったから」
ありがと。
そう言って微笑むと、伊織の顔が少し赤くなった。