最高の贈り物〜クリスマスの奇跡
何も話さずに時計台まで歩いた。
「…ここ、か。今日は一体何時まで待ってんだ?」
伊織は時計台を見上げてから、あたしを見下ろした。
「…今日はクリスマスが終わるまで待ってようかなって。明日休みだし」
ふわりと笑ってみせる。
でもあんまり笑えてないんだろうなー…
だってこれで裕也のこと諦めるって決めてるから、今は無理やりにしか笑えない。
そんなあたしの気持ちに気付いたのか、伊織は困ったように微笑んだ。
「…そか。それで今日はマフラーしてきてんだな」
伊織はあたしの首に巻かれている赤いマフラーに手を伸ばす。
そう、伊織の言うとおり。
今日は日付が変わるまで待ってようと最初から決めてたから、こうしてマフラーを持ってきた。
だって寒いし、風邪引きたくないし。
あ、そうだ。
あと伊織に言うことがあったんだ。