最高の贈り物〜クリスマスの奇跡




そんなことを思って夜空を見上げていると、時刻はいつの間にか23時58分。




もうクリスマスも後2分で終わっちゃうし、もうそろそろ早いけど帰ろうかな。




辺りを見回すともう人もほとんどいないし。




伊織も日が変わって、あたしからの電話があるまで起きててくれるって言ってた。




バッグからスマホを出して「伊織」という表示をタッチする。




もうこの通話ボタンを押せば、裕也との歴史が終わる。




ねぇ、神様…ううん、サンタさん。




子供の頃はあのおもちゃが欲しいとか、
あの人形が欲しいとか
たくさんの我がままを言ってたけど、




大人になってサンタさんが来なくなって…




でも今なら我がまま言いたいよ、あなたに。




言ってもいい?
サンタさんに欲しいもの。




「…あたし、裕也が…元気な裕也が欲しいです」




また流れ出した涙。




もう無理だって分かってても欲しいの。




戻ってきて欲しいの。
何の病気もない、元気な裕也が。




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