最高の贈り物〜クリスマスの奇跡
「……サンタさんが、君の願い叶えてあげるよ」
ふわり
柑橘系の匂いがした。
それと同時に後ろから回された腕。
知ってる、この匂い。
あたしが大好きだった柑橘系の匂い。
知ってる、この抱き締め方。
ぎゅっと密着したいからって、首に腕を回すんじゃなくて腰に腕を回してくる。
知ってる、この髪色。
雪が積もっても、雪と同じような色だから雪が積もっても分からない色。
う、そでしょ…?
そんな今さら現れるなんて…
夢に決まって……
恐る恐る身体を動かして後ろを向いた。
その姿を見て、あたしの目からは溢れるばかりの涙が流れてきた。