最高の贈り物〜クリスマスの奇跡




何も言えずに下を向いていると、ふっと伊織の笑う声が聞こえた。




顔を上げて伊織を見ると、伊織は頬杖をついて微笑みあたしを見てた。




「ま、いつでも奪う隙はあるからな。話したきゃ話せばいい。
聞いてやるから、ノロケ話」




ポンっとあたしの頭の上に手を置く伊織。




まだ伊織はあたしのことを諦めてないらしい。




裕也に会った時、「俺は諦めねーよ」と一言だけ裕也に言って去って行った。




その度に胸がギュッと締め付けられるように痛くなる。




だってもしあの夜、裕也が来なかったら今頃あたしは伊織の恋人になってた。




あたしから伊織に電話して、伊織に告白するつもりだったから。




ねぇ、伊織。
そんな風に笑ってるけど、ほんとは息苦しいんだよね?




でもあたしは裕也から離れるつもりはないの。




裕也はあたしの初恋で、あたしの中の1番の恋だから。




伊織にはあたしなんかよりもっといい女の子がいると思う。




それなのにどうしてあたしを諦めないの……?




左手薬指についた指輪を触りながら講義中はずっとそんなことを考えてた。




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