最高の贈り物〜クリスマスの奇跡
本当だ。
もうこんなに寒くなったんだ。
あたしも伊織に釣られてハァと息を吐く。
伊織に気付かれないようにそっと。
でも伊織に気付かれていたのにはあたしは気付かなかった。
空を見上げる。
冬は日が短いから、まだ6時だというのにもう星が出てる。
綺麗だけどすごく…切ない。
そしていつもこの夜空を見ると思い出すの。
今あいつは………
「……なぁ」
伊織の声で我に返る。
星空を見上げていた顔を伊織に向ける。
伊織は前を向いたままであたしに話しかけた。