光よ、生きて
。
「新しい体がほしい」
と言って、空を仰いだ君の横顔。
吐いた息の白さに霞んだ向こうに、きらりと輝く小さな雫が見えた。街灯の光に照らされた潤んだ目の端に、一際目を引く小さな雫が溜まっている。
きゅっと唇を噛んでいるのは、きっと何かを堪えているから。
それがわかっているのに、君が僕の視線を避けようとしているのに、僕は君から目を離せずにいる。
何か、言葉を掛けてあげることはできないのか。
何か、僕に出来ることはないのか。
何にも浮かばない。
唯一出来ることは、今ここで君を抱き締めること。
だけど今ここで、君はそれを望んでいない。
わかっているから、余計にもどかしくなる。行き場を失くした疼く手を固く握り締めて、コートのポケットに突っ込んだ。
君の目に光る雫が、頬を伝い落ちてしまわないようにと願いながら。
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