キケンなアイツとの生活

「いいから。なにかあったら困るでしょ」
「なにか、って…」


そんなの、なにもあるわけないのに。


「なんでもいいよ。雨降ってきたから迎えに来て、でも。足痛いから迎えに来て、でも。人肌恋しいから抱いて、いたっ…！もう、凶暴だなぁ愛梨は」
「冬弥さんが変なこと言うからです」


運転してる冬弥さんの肩をベシッ！と思い切り叩き、睨みつけた。


バカじゃないの？わたしがそんなこと思うはずないじゃん。


「まぁ、いいや。でも変質者はホントだからさ。なにか少しでも変に感じたら、電話すること。分かった？いいね？」


真剣にコチラを見る冬弥さんの目は、とても冗談を言っているようには見えなかった。


「……しょうがないから、もらってあげる」


ひったくるように名刺を受け取り、カバンに突っ込んだ。


「じゃあ、行ってらっしゃい」
「……行ってきます」