キケンなアイツとの生活
「ほら、行くぞ」
「え、待って…!!」


呆然と立ち尽くすわたしを置いて、パパは一人でさっさと行ってしまう。


慌ててそれを、わたしは追いかけた。


重そうな扉を押して中に入ると、ホテルマンの人が笑顔でこちらに向かって歩いてきた。


「望月です」


パパがそう告げると「お待ちしておりました。こちらへ、どうぞ」と、わたしたちを案内してくれた。


長い長い螺旋(らせん)階段。


おとぎ話で出てくるような、ステキな階段。


外観も白だったけど、中も真っ白。


ホントに、ここは日本なの?と思うくらい。


ホテルマンの人の恰好も、なんて言ったらいいんだろう。


エンジ色のジャケットに紺色のズボン、両手には真っ白の手袋を身に着けていて、やっぱりおとぎ話のよう…。
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