千恋☆ロマンス Ⅱ
「あの二人ならー、あの女の子達の真ん中じゃなーい?」
梓はそうやって言うけど、どうやっても真ん中は見えない。
もしかして!
『梓、エス「違うから。」』
「いーい?永遠。大変不本意だけど、ついでに玲くんとは比べ物にならないけど!東条君と春輝君は、美形なの。」
『知ってるよ?』
そりゃそーだよ。
皐月なんて転校初日から女子に囲まれてたし、ハルだって女の子に見える位整ってる。
言ってる意味が分からない私に梓は怖い顔をしてグイッと顔を近づけてきた。
「覚えておきなさい、永遠。この世の女子はね、梓程可愛くない。だから、梓に勝てない分をテクニックで補うの。積極的なの。」
は、はぁ……と曖昧な返事をする。
「だから永遠も負けちゃうかもよ?テクニック、舐めたらだめなのよ。」
『えっとつまり……?』
「迎えに行ってあげなさい。」
どん、と強く背中を押されて、私は女の子たちの群れへと突入してしまった。
☆☆☆☆☆
永遠は、女達の中に入っていった。
ていうか梓が押したんだけど。
あの子は「カミウチ」を理由に恋をしてこなかったから、乙女心ってのを持ち合わせていないみたい。
敢えて一人であの二人の所に向かわせたのは梓お姉さんの優しーい心遣いだったんだけど、
どうやら玲くんは不機嫌。
「玲くん、眉間の皺は将来困るのよ?せっかくの格好いいお顔が台無しよ?」
そう言うと、玲君の皺はますます濃くなった。
「なーに?玲くん。余計な事した?」
「分かっててやってるだろ。」
「玲くんにも同じ事言ってるのよ、梓。」
同じ事?と玲くんは聞き返す。
「そろそろ行動しないと、取られちゃうのよ?永遠。」
幼馴染みっていうのは強みでもある。
でも最悪の境界線でもあるのよ。
東条君と春輝君は強敵よ?
でもね……
「大丈夫、梓に任せて。ほんの少しだけ手伝ってあげる。」
大丈夫。だって梓がついてるから。
バッドエンドになんてさせない。
☆☆☆☆☆