千恋☆ロマンス Ⅱ
人間暇になると、回想にふけるものだよね。
という訳で、私も回想。
「それで……志紀の為に髪を切ったと……。」
「へーえ、志紀の為に…ねぇ…。とわっちゃん、お人好しー。」
『志紀の為っていうか……それもあるけど、自分の意識を変えたくて……かな。』
東条、改め皐月と話した後、私は笑ってるけど笑ってない、最早志紀のフラッシュバックなハルに事情を説明することになった。
千隼君はどうしても仕事に行かなきゃいけなかったらしく、理央ちゃんはその送迎で春日屋を後にした。
「でも、似合ってる。しっくりくるよな。」
「うんうん……。かわいいよ。」
と、まあ褒めてもらっちゃったりして。
「取り敢えず、とわっちゃんも四仙の仲間入りだし良かったねぇ。」
『うん、頑張る。』
四仙。
責任重大だよね。
きっと、今このだらけてる時間もほんとはいけないんだろうなぁ……。
でも人間、幸せな時間には打ち勝てなくて。
私はクッションをぎゅっと抱きしめて、一眠りつこうとした。
「永遠……そんな腹出して寝たら風邪引くぞ。」
「あらー、色気の欠片もない格好。梓ドン引きー。」
それは、幼馴染みの急な訪問によって叶えられる事はなかったのだけど。
『あんた達……本当に心配したんだから!』
美鞠ちゃんに攫われたかもって聞いたときの私の悲しみを返せ!
「俺はその時の記憶は全くない。」
「梓は言う気が全くなぁい。」
なんて適当な双子なんだよ。
『梓、何があったか聞いても……』
「やーだ。答えないよっ。」
梓はその時の事知ってる。
でも、何度聞いても話す気はないみたい。
『……危ない事には首つっこまない事。いい?』
はぁい、なんて間延びした声が返ってくる。
梓が危険じゃなければ別にいいんだけどね。
心配なのですよ、幼馴染みとしてね。