千恋☆ロマンス Ⅱ
だんだん、と階段を登ってくる足音。
きぃっとドアが開いて、その間から見えたのは
「とわっちゃ……」
「……春輝?」
「ひ、人違いです!」
挙動不審なハルだった。
え?
ていうか玲、春輝って言ったよね。
『ハルと玲、知り合い?』
「ハル……ね。随分可愛い名前で呼ばれてるのねー。甲斐原春輝くん。」
「それとー、梓、東条くんにお話聞きたいなぁー。永遠子がどうしてそんな危ない目にあったのか、ね。」
うふふふ、と笑う梓。
寒気がしたのは私だけじゃないだろう。
現に、東条の顔は引き攣ってる。
「逃がすか!」とばかりに梓は二人の手を掴んだ。
見た目は非力な美少女だけど、中身は全然そんな事ない。
それは、玲と梓の過去に関係してたりするんだけどね。
『えっと……どういうつながりで?』
「知らな「元チームメイトよ。」」
チームメイト……
『……まさか、黒龍のとか、言いませんよね……。』
「知らない知らない知らない!!」
ハルは全速力で首を横に振った。
「俺らが総長だった時の副そ「玲!言わないでって!」」
ハル……もう玲の知り合いだって言ってるよ……。
「え……と、俺、全然話についていけてないぞ。春輝が、馬鹿みたいに裏で荒れてるのは知ってるけど。」
さらりと言った暴言。
「一言多いよ、じょー。」
「え……水口姉弟……?え……。」
東条も困惑してるが、私もすごく戸惑ってる。
だって今玲、ハルの事“副総長”って言ったんだよね、多分。
『もし……玲達の時の副総長だったとしたら……私……ハルの事殴ったよね?』
「あーあーー聞こえなーい。」
「困惑してる2人の為に教えてあげるよ。梓ちょー優しいねぇ。」
「東条君、梓と玲は中学の時、不良だったの。」